「ロシア・トゥデイ」女性キャスターに続き、ウクライナ選手団が続ける抗議

「ロシア・トゥデイ」女性キャスターに続き、ウクライナ選手団が続ける抗議

開会式では旗手一人だけが行進したウクライナ。 以前紹介した「ロシア・トゥデイ」女性キャスターの勇気ある政治批判に続き、南部クリミア半島のロシアの実効支配に抗議するため、一時「ボイコット」する方針を決定したウクライナ選手団、授与式では選手の表情も固く、同選手団広報のナターリア・ガラチさんは「われわれの戦いが続いていることを示す意味がある」と語る。

静かな抗議
メダル授与式典で、金メダルを手で隠しながら国歌斉唱に臨んだウクライナのリュドミーラ・パブレンコさん

選手団では大会規則を守りながら、どのようにしてウクライナの現状を世界に表現するかを内部で話し合った上で、沈黙の抗議スタイルを取ることを決めたという。

バイアスロン男子7.5キロ視覚障害のセ­レモニーで、優勝したビタリー・ルカネンコ選手(35)は、プレゼンターから首にかけ­られた金メダルを、ガイド走者とともに左手で隠した。ノルディックスキー距離女子12キロ座位で優勝したリュドミーラ・パブレンコさんも10日の式典で金メダルを隠しながら、国歌斉唱に臨んだ。パブレンコさんは「祖国で困難な状況に置かれている人々のことを思って、メダルに手をやった」と打ち明けた。

一方、ウクライナ政変に介入し、南部クリミア半島を事実上制圧したロシアのプーチン大統領が国内での支持率を上昇させている。クリミアやウクライナ東部のロシア系住民保護を打ち出し、国民に「強い指導者」をアピールしたためだ。クリミアで16日に行われるロシア連邦編入の是非を問う住民投票の結果に対し、大統領が世論の強い支持を背景にどのような政治的決断を下すのか注目される。
微妙に考え方やスタンスの違う。ウクライナの置かれる複雑な環境が垣間見える。

 

【クリミア半島について】

クリミア半島
クリミア自治共和国

18世紀、多くのウクライナ系住民とともにエカテリーナ2世統治下のロシア帝国に併合。その直後に南東部セバストポリにロシア黒海艦隊の基地が置かれる。
英・仏が支持するオスマン帝国とロシア帝国が戦った1853─56年のクリミア戦争では、50万人以上が犠牲となった。この戦いで欧州の勢力図が塗りかえられ、後の第一次世界大戦へとつながった。
1921年、主にタタール人の居住地だったクリミア半島はソ連領となった。第二次世界大戦末期、スターリン政権は、イスラム教徒であるタタール人をナチス協力者としてクリミアから集団追放した。
クリミアはウクライナに帰属替えする1954年まで、ソ連に属するロシア共和国の一部だった。
1991年のソ連崩壊後、クリミアの帰属をめぐるロシアとウクライナ間の政治的な争いが断続的に起きている。

クリミア半島はウクライナ本土から南側の黒海に突き出た、山がちの半島。東部はケルチ海峡を挟んでロシア領のタマン半島と向かい合う。ロシアはこの海峡上に橋の建設を計画している。
面積は2万7000平方キロメートルで、ベルギーよりやや小さい。クリミア自治共和国はウクライナが唯一正式に認める自治共和国で、首都はシンフェロポリ。セバストポリはウクライナの特別市でクリミア自治共和国には属さない。
人口は、約200万人。2001年の国勢調査では、約58%がロシア系、24%がウクライナ人、12%が親EU派のウクライナ暫定政府を支持するタタール人とされる。ウクライナの国内総生産(GDP)の3%を占め、このうち6割がサービス業によるもの。

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