【今日の歴史】1850年6月27日の事【ラフカディオ・ハーン】

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小泉八雲(1889年頃)出典:commons.wikimedia.org
小泉八雲(1889年頃)
出典:commons.wikimedia.org

小泉 八雲 生誕日

こいずみ やくも
1850年6月27日~1904年(明治37年)9月26日
ギリシャ出身の新聞記者(探訪記者)、紀行文作家
随筆家小説家日本研究家日本民俗学者
と次第に日本に傾倒してゆく。

出生名はパトリック・ラフカディオ・ハーン
(Patrick Lafcadio Hearn)

ラフカディオが一般的にファーストネームとして知られているが、実際はミドルネームである。

アイルランドの守護聖人・聖パトリックに因んだファーストネームは、ハーン自身キリスト教の教義に懐疑的であったため、この名をあえて使用しなかったといわれる。

ファミリーネーム来日当初「ヘルン」とも呼ばれていたが、これは松江の島根県立中学校への赴任を命ずる辞令に、「Hearn」を「ヘルン」と表記したのが広まり、当人もそのように呼ばれることを非常に気に入っていたことから定着したもの。

ただ、妻の節子には「ハーン」と読むことを教えたことがある
HearnもしくはO’Hearnアイルランド南部では比較的多い姓である。

ドナルド・キーンイザベラ・バードアーネスト・フェノロサヴェンセスラウ・デ・モラエスブルーノ・タウトアンドレ・マルロー等とならび、著名な日本・日本文化紹介者の一人であり、彼が遺した数々の文献は日本人にとっても祖国の文化を顧る際の重要なよすがとなっている。

略歴
1850年6月27日当時はイギリス領であったレフカダ島(1864年にギリシャに編入)にて、イギリス軍医であったアイルランド人の父チャールス・ブッシュ・ハーンと、レフカダ島と同じイオニア諸島にあるキティラ島出身の裕福なギリシャ人名士の娘ローザ・カシマティのもとに出生。

生地レフカダ島からラフカディオというミドルネームが付いた。

レフカダ島出典:googleマップ
レフカダ島
出典:googleマップ

1852年、両親とともに父の家があるダブリンに移住し、幼少時代を過ごす。

1854年父が西インドに赴任中に精神を病んだ母がギリシアへ帰国し、間もなく離婚が成立

以後パトリックは両親にはほとんど会うことなく、父方の大叔母サラ・ブレナン(家はレインスター・スクェアー、アッパー・レッソン・ストリート交差点)に厳格なカトリック文化の中で育てられた。

この経験が原因で、少年時代のハーンはキリスト教嫌いになり、ケルト原教のドルイド教に傾倒するようになった。

フランス・イギリスで教育を受けた後1859年に渡米。

得意のフランス語を活かし、20代前半からジャーナリストとして頭角を顕し始め、文芸評論から事件報道まで広範な著述で好評を博す。

1890年(明治23年)アメリカ合衆国の出版社の通信員として来日。

来日後に契約を破棄し、日本で英語教師として教鞭を執るようになり、翌年、小泉セツ(1891年 – 1904年)結婚

"小泉八雲と小泉セツ<br
小泉八雲と小泉セツ
(日本の国際結婚では191番目である)
出典:nezu621.blog7.fc2.com

松江・熊本・神戸・東京と居を移しながら日本の英語教育の最先端で尽力し、欧米に日本文化を紹介する著書を数多く遺した。

日本では『雨月物語』『今昔物語』などに題材を採った再話文学で知られる。

1896年(明治29年)日本国籍を取得して「小泉八雲」と名乗る。

「八雲」は、一時期島根県の松江市に在住していたことから、そこの旧国名(令制国)である出雲国にかかる枕詞の「八雲立つ」に因むとされる。

1904年(明治37年)狭心症で死去。
満54歳没。

彼が松江時代に居住していた住居は、1940年(昭和15年)国の史跡に指定されている。

小泉八雲旧居ヘルン旧居とも呼ばれる旧士族根岸家の武家屋敷を借りて1891年(明治24年)5月から熊本に転任する11月までの6か月間住んだ邸宅出典:commons.wikimedia.org
小泉八雲旧居
ヘルン旧居とも呼ばれる
旧士族根岸家の武家屋敷を借りて
1891年(明治24年)5月から熊本に転任する11月
までの6か月間住んだ邸宅
出典:commons.wikimedia.org

豆知識
16歳のときに怪我で左眼を失明して隻眼となって以降、白濁した左目を嫌悪し、晩年に到るまで、写真を撮られるときには必ず顔の右側のみをカメラに向けるか、あるいはうつむくかして、決して失明した左眼が写らないポーズをとっている。

アメリカで新聞記者をしていたとき「オールド・セミコロン(古風な句読点)」というニックネームをつけられたことがある。
句読点一つであっても一切手を加えさせないというほど自分の文章にこだわりを持っていたことを指している。

tsunamiという英語をみんなが知る英語にしたのはスマトラ島沖地震 (2004年)からであるが、最初に英語として紹介したのはハーンの 1897年の作品「生神」の英語版”A Living God”からである。

2004年までtidal waves地震と無関係の用語と混同されていた。

英文学者から宗教家、心霊研究家へと転身した浅野

「自分は二十余年前の当時を回顧して見ると、小泉師の講堂丈にはモ一度入つて聴講したいやうな気分がする」

と回顧する。
『英文学史』の中ではハーンについて

「其真実の籍は米国にもあらず、又日本にもああらずして、美文の世界に在り」

と記した。

内ヶ崎作三郎(衆議院副議長)は田部隆次著『小泉八雲』に序文「小泉八雲先生を懐ふ」を寄せ、この中で

「されど先生の清く澄んだ歌ふがごとき声がかすかに微笑を湛ゆる口辺より洩るるを聞く時は、その事自身が一種の魔力であった」

と述べて浅野と同じく“魔力”の表現を使った。

西田幾太郎も田部のハーン伝記序文

「ヘルン氏は万象の背後に心霊の活動を見るといふ様な一種深い神秘思想を抱いた文学者であつた。かれは我々の単純なる感覚や感情の奥に過去幾千年来の生の脈搏を感じたのみならず、肉体的表現の一々の上にも祖先以来幾世の霊の活動を見た。(中略)氏の眼には、この世界は固定せる物体の世界ではない、過去の過去から未来の未来に亙る霊的進化の世界である。」

と述べ、ハーンの神秘主義を指摘している。

東京帝国大学では学生の信望が厚く解任のときは激しい留任運動が起きた。

非常に筆まめであり、避暑で自宅を離れている間、あとに残った妻セツに毎日書き送った手紙が数多く残されている。
また、ハーンは日本語がわからず妻は英語がわからないため、それらは夫妻の間だけで通じる特殊な仮名言葉で書かれている。

"八雲からセツ宛書蘭(明治34年7月25日)<br
八雲からセツ宛書蘭(明治34年7月25日)
出典:しずふぁん

妻セツは日本語が読めない夫のリクエストに応じて日本の民話・伝説を語り聞かせるため、普段からそれらの資料収集に努めた。

彼女以外の家族・使用人・近隣住民、また旅先で出会った人々の話を題材にした作品も多い。

もともと強度の近視であったが、さらに晩年は右目の視力も衰え高さが98センチもある机を使用して紙を目に近づけランプの光を明るくして執筆を行った。

八雲生誕の、ギリシャのレフカダ島の詩人公園には、日本の松江と新宿から贈られた八雲の像がある。

"レフカダの町の海に面した詩人公園にある、小泉八雲像<br
レフカダの町の海に面した
詩人公園にある
小泉八雲像
出典:エイビーロード

八雲の縁で、レフカダ(出生の地)新宿区(終焉の地)ニューオーリンズ市松江市がそれぞれ姉妹都市になっている。

熊本時代、時間があると旧制五校の裏にある小峰墓地に通い、そこにある鼻の欠けた地蔵「鼻かけ地蔵」をこよなく愛したとされる。

熊本市中央区・小峯墓地の鼻かけ地蔵出典:wikimedia.org
熊本市中央区・小峯墓地の
鼻かけ地蔵
出典:wikimedia.org

来日以前の著作
飛花落葉集 (Stray Leaves from Strange Literature) 1884年

ゴンボ・ゼーブ (“Gombo Zhèbes”) 1885年
クレオール料理 (La Cuisine Creole: A Collection of Culinary Recipes) 1885年
中国怪談集 (Some Chinese Ghosts) 1887年
チータ (Chita: A Memory of Last Island) 1889年
ユーマ (Youma, the Story of a West-Indian Slave) 1890年
仏領西インドの二年間 (Two Years in the French West Indies) 1890年

『焼津小泉八雲記念館』

小泉八雲記念館2007年に開館した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)を記念する焼津市立の文学館。2012年7月15日から八雲の曾孫である小泉凡が記念館名誉館長を務めている。出典:wikimedia.org
小泉八雲記念館
2007年に開館した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)
記念する焼津市立の文学館。
2012年7月15日から八雲の曾孫である
小泉凡が記念館名誉館長を務めている。
出典:wikimedia.org

所在地: 静岡県焼津市三ケ名1550(焼津文化センター内)
電話: 054-620-0022
開館時間: 午前9時~午後5時
入場料: 無料
休館日:年末年始(12月29日~1月3日)
URLhttp://www.city.yaizu.lg.jp/yaizu-yakumo/

抜粋:http://tiny.cc/rn7uzx(Wikipedia)より

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