【今日の歴史】1960年12月16日の事【事故による発展】

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墜落したDC-8
墜落したDC-8

1960年ニューヨーク空中衝突事故

1960年ニューヨーク空中衝突事故
(1960 New York air disaster)
アメリカ合衆国の国内線の旅客機2機が
ニューヨーク上空衝突した航空事故(空中衝突)である
この事故では空中衝突事故を防止する航空管制
取っていたにもかかわらず
事故を未然に防ぐことが出来なかった。

概要
1960年12月16日ニューヨーク上空で2機の旅客機が空中衝突した。

1機はシカゴからニューヨーク・アイドルワイルド空港(現在のジョン・F・ケネディ国際空港)に向かっていたユナイテッド航空(以下UA)826便のDC-8-11(愛称:Mainliner Will Rogers)で乗員7名、乗客77名が搭乗していた。

United Airlines Douglas DC-8-11
United Airlines Douglas DC-8-11

もう1機はデイトナを出発しオハイオ州コロンバスを経由してニューヨーク・ラガーディア空港に向かっていたトランスワールド航空(以下TWA)266便ロッキードL-1049スーパーコンステレーション(愛称:Star of Sicily)で乗員5名と乗客39名が搭乗していた。

ロッキードL1049 スーパーコンステレーション
ロッキードL1049 スーパーコンステレーション

2機はアメリカ東部標準時の午前10時33分にスタテンアイランドにあるミラー空軍基地西方1マイルの上空5,000フィートの雲の中で空中衝突した。

衝突はUAのジェット旅客機が水平方向で時速560km/hで、着陸のために左に旋回していたTWAのレシプロ旅客機に後方から覆い被さるような形で発生した。
そのうえUA機のエンジンの残骸からTWA機の機内装備品と乗客の遺体が発見されたことからUAのエンジンがTWAの客室を直撃し破壊していたことが判明した。

TWA266便は衝突時に空中分解し螺旋状に落下し、そのままミラー基地の敷地内に墜落した。
また現場にはUA機の第4エンジンと右側主翼の一部も含まれていた。

一方のUA機は操縦不能に陥って滑降し、衝突地点から8.5マイル北東のブルックリンのパーク・スロープに墜落した。
UA826便は10棟のアパートと教会、クリーニング店などの商店を破壊し、住民6名が犠牲になった。
機体の主要残骸は道路上に散らばっていた。

なお当初TWA機からは3名の乗客が生存していたが救助後死亡し、UA機からは雪の塊の上に落下した1名(11歳の少年)が救助され、事故当時の状況について証言したが重度の火傷と打撲のため翌日死亡した。
そのため2機に搭乗していた全員が死亡し、この事故による犠牲者は合せて134名にものぼった。

この事故は当時としては最悪の空中衝突事故であった。
またDC-8の全損事故は本件が初めてであり、民間定期航空路に就航したアメリカ製ジェット旅客機最初の死亡事故でもあった。

UAとTWAは、1956年にも空中衝突事故(グランドキャニオン空中衝突事故)を起こしていた。

UAはその時とは異なりジェット機であったが、TWAは同じ種類のレシプロ機であった。
また2機の搭乗者の合計が皮肉にも1956年の事故と同じ128名であった。なおアイドルワイルド空港ではこの事故の2ヶ月の間に2機が航空事故(1機はアメリカン航空の訓練機1502便が海面に激突して大破)を起こしたため、連続事故の最初となった。

原因
事故原因はDC-8のパイロットが計器表示を誤解し、通常航路から約15km逸脱していたパイロットミスであった。

また、この危機的状況を航空管制が把握できていなかったことも問題となった。

事故当時の気象は小雨と霧と雪が混じっており、計器方式飛行をしなければならない状況であった。
衝突前にDC-8は、管制から通常の航路よりも経路を短縮することを許可され、指示通り飛行しようとした。

午前10時21分にUA機に搭載されていたVOR受信機2台のうち1台が故障していることをカンパニーラジオで自社に報告したが航空管制には報告していなかった。
そのためパイロットは航法のためにADFを使用した。

午前10時25分に航空管制からプレストンまで12マイル(約20Km)ショートカットしてもよいとのクリアランスを受けた。

この際にADFによる計器表示の理解に誤解が生じ、自機の位置を錯覚したことが判明した。

この事が最大の空中衝突の要因であった。

また管制官もDC-8が予定された航路から約15Kmも逸脱していることに気が付いていなかった。
そのため、UA機は着陸態勢であったTWA機の後方から高速で衝突してしまったとされた。

この事故を教訓にしてアメリカ国内の航空管制システムは全面的なレーダー管制が整えられていった。

またアメリカ上空を飛行する12500ポンド(5670Kg)以上の航空機にトランスポンダーの設置が義務付けられ、航法ビーコンの配備が進められることになった。

ATCトランスポンダ(民間航空用)
航空交通管制 (ATC: Air Traffic Control) においては、二次監視レーダ (SSR) システムを使用して飛行中の航空機を識別している。

このために航空機側に搭載する応答装置(応答機)をATCトランスポンダ(ATC Transponder, ATC XPDR、航空交通管制用自動応答装置)という。

トランスポンダ
トランスポンダ

レーダーと連動して、0から7までの4桁の数字で当該航空機の位置特定を行い、航空交通管制に使用するアビオニクスである。アメリカ軍が開発したSIF(セレクティブ アイデンティフィケーション フィーチャー)識別システムのモード3を技術公開して、民間航空機にも装備が義務化されている。

モード1、モード2およびIFFは純軍事用器材で、秘密保護のため機密扱いとなっている。

関連記事 グランドキャニオン空中衝突事故

抜粋:http://ul.lc/58n7(wikipedia)より

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