【もうすぐAppleの傘下】してやったりのBeatsの闇=その2

【もうすぐAppleの傘下】してやったりのBeatsの闇=その1からの続きです。

appleとbeatsは?
appleとbeatsは?

Noelは早速ヘッドフォンのプロトタイプ製作に着手し、プロプリエタリのHDオーディオ形式の提携先探しで息子をLAに飛ばします。このオーディオ形式っていうのは結局世に出なかったんですが、「UsherでもMary J. BligeでもU2でもデカい契約とってこい!」っていう父親のお達し通りにいろんな人と会ってるうちに思いがけないことが起きたのです。「めぐり合わせとしか思えないことが人生ときどきあるんだよね…セレンディピティっていうのかな」と静かに微笑むKevin。あのヴェイパーウェア売り込みにいかなかったら、「インタースコープ社のJimmy Iovine(ジミー・アイオヴァイン)に会うことも一生なかったと思うよ」(Kevin)。

この出会いで、Beatsが一気に動き始めます。
Jimmy Iovineといえば、ブルース・スプリングスティーン、50セントを世に出し、8 Mileを共同プロデュースした大御所です。 Dr. Dreは言わずと知れたDr. Dre。 Beatsのプレスイベントでも2人は息ぴったりで、Jimmyは毎度のように舌鋒鋭く機関銃のような早口で創業秘話をまくし立てていますよね。つまり、インタースコープがDreにスニーカーのエンドースメント契約をお願いしたら、Dreが…

「スニーカーなんて言ってねえでスピーカーつくろうぜ」

と答え、そうして生まれたのがBeatsだっていう、例の創業秘話。これ誰が聞いたって出来過ぎなんだけど、ほのぼのしてるし、スニーカーとスピーカーで一応韻を踏んでるので、誰も敢えて突っ込まないままそれが創業秘話ってことになってます。

が、Lee父子に言わせると、これは物語の半分しか語ってないんだそうですよ。Kevinがサラウンドサウンドの提携先を探してるっていう話を聞きつけて、JimmyとDreは「一緒に電化製品をつくろうぜ」という喉から手が出るような願ってもない話をモンスターに持ちかけてきました。「僕に寄ってきて、親父がつくったサウンド関連のテクノロジーを片っ端から褒めまくったんだよね」とKevin。

父NoelはJimmyと「たちまち意気投合」(Noel)。「あんたはミュージックのサウンドはこうあるべきだっていうのがよくわかってる、自分もミュージックのサウンドはこうあるべきだっていうのはよくわかってる、わからない残りのやつらは全部まとめてボケナスだ」ってな調子で盛り上がり、まるで最初から「恋に落ちる男女みたいだった」とKevinは振り返ります。

意気投合したら次は「サウンド講座」の番です。モンスター自らが先生役を務めて自社サウンド技術をJimmyとDreに披露しました。頭骨に響くバスサウンドの再生技術を披露し、インイヤータイプの試作品も披露して。こうして教えてでもやらないとインタースコープ側のふたりは何もわからなかったのだとNoelパパは言います。

DreとJimmyには、なぜもうスピーカーの時代じゃないのかという部分からわかってもらう必要があった。世の中の人がなぜスピーカーを買わないのか、彼らにはまったく理解できていなかったんだ。ふたりともスピーカーはデカいの持ってるしスタジオに常時完備だからね。なんでスピーカーじゃなくてヘッドフォンなんだよ? っていう感覚だった。

モンスターはラップ界の重鎮コンビの中にオーディオに賭ける淡い野望を嗅ぎわけ、実に儲かる業域に目を向けさせたのでした。つまり、ハイエンドのヘッドフォン市場です。Boseはお父さん世代が買うものだ、他のは全部ちっぽけなゴミか、無名過ぎるか、複雑過ぎて誰も手にしないものだ、だから…

「一緒にヘッドフォンつくろうぜ」

とふたりを説き伏せたのは、他ならぬNoelだったのです。

その3へ続く

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