【エボラ熱】医師の脳裏に焼き付く「子どもの死」

【エボラ熱】医師の脳裏に焼き付く「子どもの死」
治療に当たった英国人医師の脳裏に焼き付いたのは死にゆく子どもたちの姿だった。写真はリベリアの治療施設で撮影。提供写真(2014年 ロイター/Samaritan"s Purse)
治療に当たった英国人医師の脳裏に焼き付いたのは死にゆく子どもたちの姿だった。写真はリベリアの治療施設で撮影。提供写真(2014年 ロイター/Samaritan”s Purse)

親にとって子供の死ほどつらいものはないだろう。
しかし、一筋の光が見えたことに拠って、親の病気への理解や回復への希望がでてくる。
これによって、今まで敢えて病院に来なかった人たちも回復を望んで病院に来る人も増えるだろう。
その一方、医療施設や人員不足はより深刻なものとなりそうだ。

エボラ出血熱の流行が拡大するシエラレオネの最前線で1カ月間、治療に当たった英国人医師ティム・オデンプシー氏の脳裏に焼き付いたのは死にゆく子どもたちの姿だった。

「母親が小さな赤ん坊を連れて病院に駆け込み、数日後にその子が死ぬ。そのような状況はとても過酷だ」。ロイターのインタビューに応じたオデンプシー氏は、「治療が必要な患者であふれている。時には家族全員が収容されることもあり、これを止めることはできない」と説明した。

オデンプシー氏は、30年にわたって熱帯病の研究・治療に従事。今回、世界保健機関(WHO)によってシエラレオネに派遣された。2─4人の医師とチームを組み、1日に40─60人の治療に当たった。

ケネマの病院にはエボラ患者用の病棟が3つあったが、ベッド数はそれぞれ10━12台しかなく、患者は床に敷かれたマットレスや廊下で横になるしかなかった。

医療スタッフの多くも感染により死亡。エボラ病棟の看護師長や医療チームを率い、シエラレオネ政府から「国民的英雄」と称えられていたていたシェイク・ウマル・カーン医師(39)も死亡した。

<希望の光>
そんな悲劇の連続の中、6-7歳くらいの少女が希望の光を与えた

オデンプシー氏によると、少女はすぐに感染が確認され、隔離病棟に移された。高熱・嘔吐・下痢の症状がひどく、こん睡状態となり、死が目前に迫っていた

しかし、オデンプシー氏らが全力を尽くし、少女はこん睡状態から抜け出した。同氏は「4週間後、少女を病院に連れてきた父親との面会をセッティングした。容体は日に日に回復していると聞いている」と語った。

オデンプシー氏は、この少女のような話は患者に病院での治療を促し、流行拡大を防止することになるとして、非常に重要だと指摘。「回復途上の患者が、冗談を言ったり歌を歌ったりして退院の日を待っていることは素晴らしいことだ」と話した。

<ピークはまだ先>
その一方で、オデンプシー氏は、現場で活動する地元の医師や看護師が悪戦苦闘する姿を目にした。

「私が到着した際、看護師らがストライキに入っており、病棟には看護師が誰もおらず、状況は恐ろしいものだった」

こう振り返ったオデンプシー氏は、「医療従事者の感染率が高く、同僚が感染し、一部の同僚が死亡するのを目の当たりにした人は、とてもつらい思いをしただろう」と続けた。

その上で、同氏は「ピークはまだ先のようだ」と強調し、治療施設の改善・拡張が必要だと訴える。「訓練された看護師を十分に確保することも必要で、サポートする医師も必要だ。看護師を1日12─14時間、休みなしで数カ月間も働かせることなどできない」と語気を強めた。

WHOによると、西アフリカ諸国におけるエボラ出血熱による死者数は1013人に達している

参考:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GC03N20140812?rpc=122

 

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