【今日の歴史】1120年11月25日の事【原因不明事故】

【今日の歴史】1120年11月25日の事【原因不明事故】
ホワイトシップの遭難。生き残ったのは船員1人。
ホワイトシップの遭難。生き残ったのは船員1人。

ホワイトシップの遭難

ホワイトシップ(White Ship)の遭難は、12世紀(1120年11月25日)の海難事故。
イングランド王ヘンリー1世の世継ぎウィリアム、王の庶子2人を始めとして、イングランド、ノルマンディーの王族、貴族多数が水死した。生き残ったのは船員1人と言われる。

原因は明らかでなく、貴族たちが宴会を開き、船員まで一緒に酔っていたことや、船長が出航を遅らせることを提案したが、王子たちに却下されたためとも言う。

この事件後、ヘンリー1世は後妻を迎えたが、男子は生まれなかった。

そのため、娘のマティルダ(通称「女帝モード」)を後継者に指名したが、王の死後、マティルダは従兄のスティーブン(ヘンリー1世の姉の子)と王位を争い、イングランドを無政府状態(アナーキー)に導くことになる。

この事件はイングランドの運命を大きく変え、また多数の公子、公女の死は、タイタニック号の遭難以上の衝撃を当時与えた。

この事故をモチーフにした文学作品では、この事故を陰謀によるものとしたり、生き残った船員が数奇な運命をたどったりするものがある。たとえば、ケン・フォレット『大聖堂』(1989年)など。

ケン・フォレット『大聖堂』

『大聖堂』(英語: The Pillars of the Earth)は、ケン・フォレットによる歴史小説。
1989年に発表され、日本では1991年に新潮文庫から矢野浩三郎訳により出版された。
2005年にはソフトバンク文庫により再版されている。

12世紀中葉の史実を背景として、キングズブリッジという架空の町に建築される大聖堂を中心として展開される群像劇。
ホワイトシップの遭難から始まる無政府時代からカンタベリー大司教トマス・ベケットの暗殺という半世紀の間が描かれている。

ロマネスク建築からゴシック建築へ移り変わる技術的な歴史も背景としている。
キングズブリッジは実際のイングランドの町から名前をとっているが、作中のキングズブリッジは筆者の創作によるものである。

ケン・フォレットはこの小説以前はスリラー小説のジャンルで活躍していたが、大聖堂は全世界で2,000万部を売り上げ、代表作となった。

続編の『大聖堂-果てしなき世界』(World Without End)が2007年10月に発売された。
日本では2009年にソフトバンク文庫から戸田裕之訳により出版されているが、内容的には直接の続編ではない。

2010年に本作のテレビドラマが制作され、日本では2011年に放映されている。

作品での歴史上の人物
イングランド王ヘンリー1世
王権を強化するのに成功したが、嫡子をホワイトシップの遭難で失った。
娘のマティルダ(後のモード女帝)を後継者に指名して死亡。

スティーブン1世
ヘンリー1世の甥。ヘンリー1世の死去に乗じてフランスからロンドンへ乗り込み、王位を奪った。
弟はウィンチェスター司教ヘンリーであり、即位に当たり教会勢力の統治権を認めたために、ローマ教皇の支持を得た。
一時リンカーンで捕虜となるが、妻が交戦を続け、捕虜交換で釈放された。
統治の晩年で長男を失ったために、自身の即位を追認させる代わりに後継者をヘンリー2世とすることで講和する。その翌年に死亡した。

ウィンチェスター司教
ヘンリースティーブン1世の弟。
兄の即位当初こそは蜜月であったが、後にスティーブン1世が教会との約束を無視するようになり、関係に亀裂が生じた。

モード女帝
スティーブン王に対して反旗を翻した庶兄のグロスター伯ロバートと合流するためにイングランドへ上陸し、王位を求めて内戦を続けた。一進一退を続けたが、やがてグロスター伯の死によりモード女帝はフランスへ帰った。
モード女帝の死によってスティーブン王派が優勢に思われたが、スティーブン王が息子を失ったため、彼女の息子がヘンリー2世として後継者となった。

グロースター伯ロバート
モード女帝の庶兄。モード派の主要な勢力であったが、ウィンチェスターで敗北して捉えられ、すでに虜囚となっていたスティーブン王と捕虜交換された。
やがて内戦の中で死亡し、モード派の凋落の主因となった。

ヘンリー2世
モード女帝の息子。
スティーブン1世の後継者となり即位、フランスにすでにある父母の遺領と併せ、広大なアンジュー帝国を築き上げた。有名なリチャード獅子王やジョン欠地王の父親でもある。
晩年は広大な領土と息子たちの統制に失敗し、不幸な最後を迎えた。

トマス・ベケット
カンタベリー大司教。ヘンリー2世の腹心であったが、教会の自由のために後に王と対立し始めた。
1170年にヘンリー2世の意を汲みトマス・ベケットは暗殺されたが、トマスは直ちに殉教者とされ、ローマ法王から列聖されたこともあり、ヘンリー2世はキリスト教世界から非難された。
そのためにヘンリー2世は教会への譲歩を余儀なくされた。

関連書籍
大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)
大聖堂 (中) (ソフトバンク文庫)
大聖堂 (下) (ソフトバンク文庫)

抜粋:http://ul.lc/574w(wikipedia)より

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