【今日の歴史】1901年11月14日の事【医学】

【今日の歴史】1901年11月14日の事【医学】
ABO式血液型 (一般的な遺伝型の場合)
ABO式血液型 (一般的な遺伝型の場合)

ABO式血液型を発表

カール・ラントシュタイナーがABO式血液型を発表。
なお、この時点では血液型がA型、B型、C型(後にO型に改称)の3つであるとされた。

ABO式血液型とは、血液型の分類法の一種。A、B、O、ABの4型に分類する。

概要
血液の種類を表す型ではない。
赤血球の表面には250種以上の表面抗原があるが、A/B型抗原はその代表的な抗原である。
赤血球の表面にA抗原があるとA型、B抗原があるとB型、AとB,両方の抗原があるとAB型、両抗原が無いとO型とする。
逆に血漿中には各抗原に反応する抗体があり、通常A型の血漿中には抗B抗体があり、B型の血漿中には抗A抗体があり、AB型の血漿中には抗A抗体も抗B抗体のどちらも無し、O型の血漿には抗A抗体と抗B抗体両方が存在する。

血漿中の抗体を調べることで血液型を判定することを裏試験ともいう。
表面抗原に、それぞれ対応する抗体が反応すると赤血球は凝集してしまう。

歴史
最も初期に発見された血液型分類である。
1900年にオーストリア・ハンガリーのユダヤ人の医学者カール・ラントシュタイナー(1868年 – 1943年)により発見され、翌年の1901年11月14日に論文発表された。

ラントシュタイナーはまず自身の血液型をA型と名付け、残りの血液型をそれぞれB型、C型と名付けた。

1902年にアルフレッド・フォン・デカステロとアドリアノ・シュテュルリによって第4の型が追加発表された。

1910年にエミール・フォン・デュンゲルンとルドヴィク・ヒルシュフェルトにより、第4の型にはAB型という名称が与えられ、C型の名称はO型に変更された。

なお、C型をO型に変更した理由は、数字の「0」(ゼロ)ではなく、ドイツ語の「ohne」(「 – ない」などの意味)の頭文字である可能性が指摘されている。

機構
A型はA抗原を発現する遺伝子(A型転移酵素をコードする遺伝子)を持っており、B型はB抗原を発現する遺伝子(B型転移酵素をコードする遺伝子)を、AB型は両方の抗原を発現する遺伝子を持っている。
A抗原、B抗原はH抗原からそれぞれA型転移酵素、B型転移酵素によって化学的に変換される。

ABO式血液型糖鎖の分子構造
ABO式血液型糖鎖の分子構造

3種の遺伝子の組み合わせによる表現型、ABO式血液型を決定する遺伝子は第9染色体に存在する。
H物質発現をコードする遺伝子は第19染色体に位置し、H前駆物質をH物質へ変換させる。
この遺伝子が発現しない場合はボンベイ型(O型の亜型)となる。

A型 – A遺伝子をすくなくとも一つ持ち、B遺伝子は持たない(AA型、AO型)→A抗原を持つ。
B抗原に対する抗体βが形成 。

B型 – B遺伝子をすくなくとも一つ持ち、A遺伝子は持たない(BB型、BO型)→B抗原を持つ。
A抗原に対する抗体αが形成 。

O型 – A遺伝子・B遺伝子ともに無い(OO型)→H抗原のみ持つ。A,B抗原それぞれに対する抗体α、抗体βが形成。

AB型 – A遺伝子・B遺伝子を一つずつ持つ(AB型)→A抗原、B抗原両方を持つ。抗体形成なし。

A抗原とB抗原は、持っていないとそれに対する自然抗体が形成されることが多く、この場合、型違い輸血により即時拒絶が起こる。
自然抗体がなくとも型違い輸血により1週間程度で新しいIgM抗体が生産されこれが拒絶反応をおこす。そのため、基本的には型違い輸血は行われない。
輸血される血液は受血者の血液より少量のため、血漿によって希釈されて抗原抗体反応が起こらなくなる。
そのため、かつてはO型は全能供血者、AB型は全能受血者と呼ばれていたが、ABO以外の型物質(Rh因子やMN式血液型など)が存在することもあり現在では緊急時を除いては通常行われない。

2010年4月には大阪大学医学部附属病院で治療を受けた60代の患者が同型の赤血球製剤とO型の新鮮凍結血漿の輸血後に死亡する事故が発生している(但し、この患者は搬送当時すでに意識がなかったことから輸血が原因でない可能性もある)。

なお、自然抗体を持っている理由は、細菌やウイルスが唾液や性的接触などにより人間間で感染するように、人間の細胞や細胞の断片も人間間を移動するからであり、移動した断片はマクロファージによりファゴサイトーシスされ、これがT細胞に提示され抗体が作られる。主にIgMが作られるが、IgG抗体も作られることもある。

これらの抗原が最初に血液から発見されたために「血液型」という名称を冠するもので、血液以外にも唾液・精液など、すべての体液にも存在する。

ただし1/4の人は抗原が出ないもしくは微量(Se酵素欠損による非分泌型→Lewis式血液型参照)のため、この場合は検出が難しい。

分布
日本人のABO式血液型の分布は大まかに、A型が40%、B型が20%、O型が30%、AB型が10%である。

国別血液型分布
国別血液型分布

ただし、ABO式血液型の分布は母集団(地域や人種)によって差が大きく、アメリカ大陸の原住民であるインディアン及びインディオの場合は共に70%以上がO型で、部族によっては100%を記録していた。
また、世界的にはA型はヨーロッパ、B型はアジア、O型はアフリカに多く分布している。

特殊なABO式血液型
稀血(まれけつ)などとも呼ばれる亜種がある。

Rh-型も稀血扱いされる事があるが、その存在率はABO式の稀血よりずっと高い。
また、判別方法として異なるので重複(Aint-やシスAB-型など)することがある。
シスAB-型は非常に少ない。

稀血と献血
献血などに訪れた人が特殊な血液型であることが判明した場合、赤十字社のコンピュータに情報が登録され、血液はマイナス80度以下の超低温で冷凍され長期保存(現在の基準では10年)される。
特殊血液型の人が輸血などを必要とする状況になった場合には、この冷凍血液を解凍して使用するか、登録している同じ型の他の人への緊急献血協力を依頼(電話や速達便などで)、または日本国外の赤十字社へストック要請をすることになる(逆に、日本国外から要請があれば同様に冷凍パックを送る)。
「Rhマイナス友の会」という登録グループが存在する。

判定方法
試薬の抗A血清と抗B血清とを用いて、採取した赤血球と反応させて凝集の有無により判定する方法(おもて検査)で仮に判定される(抗H血清も使用することがある。抗H血清を使用するとボンベイ型の判定も出せる)。どちらかの血清で凝集が見られた場合はその血液型、どちらとも凝集が見られた場合はAB型、凝集が見られない場合はO型と判定される。

これに加え、血液の血清を用いて判定する方法(うら検査)で判定して結果が一致した場合に、血液型が確定される。誕生時には、うら検査で判定するのに必要な血液型決定因子が不足しているので判定できず、おもて検査では、凝集が起きにくいタイプの場合や凝集の有無を間違って、誤って仮判定されるケースがある。そのため、成長してから正しい血液型が確定された場合に、ABO型の血液型が変わったかのように見える場合がある。

なお、おもて検査とうら検査の判定が一致しなかった場合は再検査する。それでも一致しなかった場合は稀血の可能性も考慮する。

おもて検査とうら検査には優劣がないため、どちらかの判定を優先して血液型を決定するということはしない。 血液ではなく、遺伝子から判定するという手法もあり、血清による判定に比べ、誤判定が生じにくいことが特徴である。

ABO型における親子の理論的な血液型の組み合わせ
※あくまでも、メンデルの法則に基づいた、単純化した理論による血液型および確率である。現実には亜型等による例外が存在する。(例・シスAB型とO型によるAB型やO型の子供など)

ABO式血液型は、人の第9番染色体に存在する複対立遺伝子によって決定する。
通常、存在する遺伝子の遺伝子型はA、B、Oの3種類であって、AとBとはOに対して優性に遺伝し、AとBとの間には優性劣性の差異は存在しない。
すなわち、2本の第9番染色体のうち少なくとも一方にA遺伝子が存在しいずれにもB遺伝子が存在しなければ表現型はA型、少なくとも一方にB遺伝子が存在しいずれにもA遺伝子が存在しなければ表現型はB型、A遺伝子・B遺伝子の双方が存在すれば表現型はAB型、2本の染色体の双方にO遺伝子が含まれる場合は劣性遺伝するO型が表現型となる。

日本国内の血液型分布図
日本国内の血液型分布図(現在もあまり変化なし)

ABO式血液型と性格
日本、韓国、台湾など一部の国では血液型性格分類が存在するが、血液型と性格の関連性は科学的に証明されていない。だがテレビや雑誌の占いなどの影響で、血液型性格分類を信じる人がいまだ一定数存在している。

血液型性格分類に科学的根拠がないとされるにもかかわらず当たっているように感じる理由として、以下のことが挙げられている。

分類に使われている性格の表現というのは、誰もが「あ~、そうかも」と思えるものが多い。
例えば女子の場合には「感情が変化しやすい」「さみしがりや」などがわかりやすい例であるが、誰にでも多かれ少なかれ当てはまるものである。

明るい性格の人であっても暗い気分の時があり、しっかりした人であっても、いつでもどこでもしっかりした人でいられるわけではない。

そのため、「××型だから○○」という表現を多く並べれば並べるほど、たいがいの人に当てはまる性格分析が出来上がってしまう。
このことを心理学では「バーナム効果」と言い、誰にでも当てはまる”あいまいで一般的な性格をあらわす記述”を、自分だけに当てはまる正確なものだと誤解してしまう現象として知られている。

「A型は几帳面」という思い込みがあると、A型の人が几帳面に行動する場面ばかりに目が向くようになり、A型の人がいいかげんな行動をする場面があっても「めずらしい」の一言で済ませてしまうようになる。
このことを心理学では「確証バイアス」と言い、自分の信念を裏付ける情報を重視・選択し、これに反する情報を軽視・排除してしまうという現象として知られている。

A型の人が「A型は几帳面」という情報を何回も聞くと、それを意識した行動を無意識のうちにとるようになってしまう。行動が多少なりとも変わった状態で再び「A型は几帳面だ」という情報が入ってきた場合に、当たっていると感じてしまう。
このことを心理学では「予言の自己成就」と言い、根拠のない予言であってもそれを信じて行動すると、予言通りの結果になってしまうという現象として知られている。

ブラッドタイプ・ハラスメント
血液型によって人の性格を判断し、相手を不快や不安な状態にさせる言動のことはブラッドタイプ・ハラスメント(通称ブラハラ)と呼ばれ、近年問題になっている。
厚生労働省は「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」としており、血液型を採用面接などで尋ねないよう企業に求めている。

血液型のように本人によって選択できない遺伝情報に基づいて、人を否定的に捉えること自体が差別行為とされる。

このような「血液型差別」は人種差別と同様の構図を持っており、実際に欧米における血液型性格分類は人種差別を肯定するために研究されてきた歴史がある。

(例:○○人は血液型が…型だから優秀なのだ。○○人は血液型が…型だから劣るのだ)

社会学的な考え方から、多数派ではない血液型が否定的な扱いをされるであろうことは予想がつく。

少数派の軽視や意図的に特定の血液型の人間を差別する行為や、特定の血液型に悪い印象を持たせるように誘導する行為は基本的人権の侵害に繋がる可能性が高い。

現在の日本では「血液型を根拠に人格否定やレッテル貼り、気に入らない血液型の人間を疎外することは差別行為に該当する」という認識を持ちあわせた人間が少なく、かつそういった意識が低い点に問題があるとされる。

ABO式血液型と体質
1980年代はABO式血液型と病気関係の仮説について持てはやされていたが、ヒトゲノム計画が終りつつあった2000年に、科学雑誌『Nature』にて総説が掲載され、その内容は「胃腸管に関するいくつかの形質に弱い相関が確認できるが、血液型と疾患の相関については再現性よく示されたものは無い」というものであった。

ただし、最近ではABO式血液型で病気や妊娠のリスクが変わるという報告もある。

ABO式血液型の変化
後天的な変化
白血病の治療などで造血幹細胞移植(骨髄移植)を行った場合には、移植したドナーの造血幹細胞によって血液を造り出すようになるため、原則としてドナーのABO式血液型に変わる。

骨髄性白血病などで、特定の抗原糖の産出が停止し、血液型が変わることがある。

細菌感染症で、細菌が出すジアセチラーゼにより抗原糖が変質し、血液型が変わることがある。

ただし、上述の病気や細菌感染症で変わることは非常に稀である。

現在の知見では病気やその治療以外の原因で血液型が変化することは基本的にありえないので、病気や治療などの原因がないにも関わらず献血等で血液検査を行ったときに血液型が異なっていた場合は、本人や親の単純な思い込みや新生児での血液検査が間違っていたと考えた方が良い。

輸血用ABO抗原の変更
2007年4月にA型、B型、AB型の赤血球をO型に変えることのできる酵素の開発に米国のハーバード大学などの国際研究チームが成功した。
O型の血液はボンベイ型を除く全ての血液型の人に輸血が可能であるため、この技術が確立すれば、輸血の際に血液型を考慮する必要がほとんどなくなることとなる。

抜粋:http://ul.lc/563r(wikipedia)より

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