(ちょいまとめ)米欧がロシアに追加制裁、プーチン大統領はクリミア主権承認

(ちょいまとめ)米欧がロシアに追加制裁、プーチン大統領はクリミア主権承認

オバマ米大統領は17日、ロシアのクリミア軍事侵攻に関与したとして、ウクライナ議会に大統領を解任されたヤヌコビッチ氏のほか、ロシア副首相を含むロシア人とウクライナ人11人に対する制裁を発動した。 欧州連合(EU)外相理事会も同日、ロシアとクリミアの当局者21人に対し、渡航禁止や資産凍結などの制裁を発動することで合意。 一方、国営ロシア通信(RIA)によると、ロシアのプーチン大統領は同日、ウクライナ南部のクリミア自治共和国を主権国家として承認する法令に署名した。 16日にクリミア半島で実施されたロシアへの編入の是非を問う住民投票では、圧倒的多数で編入が支持された。クリミア自治共和国議会は17日、ロシアへの編入を正式に申請。プーチン大統領は、クリミア問題をめぐり18日に両院合同議会で演説する。 <米国の制裁> オバマ大統領が発表した制裁の内容は米国内の資産凍結、および米国への渡航禁止。オバマ大統領が大統領令に署名した。11人のうち7人が政府高官となっている。 ロシアのプーチン大統領は制裁の対象になっていないが、ロゴジン副首相、大統領補佐官のウラジスラフ・スルコフ氏とセルゲイ・グラジエフ氏のほか、レオニド・スルツキー議員とエレーナ・ミズリナ議員らが対象となっており、米政府は同大統領の側近に圧力をかける。 オバマ大統領は「ロシアがウクライナへの介入を続ければ、追加の制裁を科す用意がある」と発言。 ホワイトハウスは今回の制裁発動について「不法なクリミア分離への支援を含め、ウクライナの国家主権と領土保全を侵害する行為を行った場合には結果を伴う、との強いメッセージをロシア政府に送る」と説明した。 米政府高官は、プーチン大統領は18日にもクリミアの併合を正式に発表する可能性があるとし、その場合は米政府は「直接的、かつ的を絞った方法で」追加制裁を実施するとの立場を示した。 ホワイトハウスのカーニー報道官は、将来的にプーチン大統領を対象に含めることも排除しないとの姿勢を示した。 <EUの制裁> EU制裁の対象は、10人がロシアの政界関係者、3人が軍当局者、8人がクリミア関係者で、ロシア黒海艦隊のアレクサンドル・ビトコ司令官やクリミアのアクショーノフ首相らが含まれている。 ただ、EUの制裁には加盟28カ国の全会一致が必要で、ギリシャやキプロス、イタリア、スペイン、ポルトガルなどは、早急な対応に慎重な姿勢を示す。 先週末には、制裁対象に120─130人の名前が挙がっていたが絞り込んだ。ポーランドなどが、さらに対象者を加えるよう働きかけたが、十分な支持を得られなかった。 米国とEUの制裁対象で重複しているのは3人のみ。米国はプーチン大統領に近い高官を、EUは軍事介入に直接関与した可能性のある中レベルの当局者を対象としているようだ。 米欧とも、ロシアが正式にクリミアを併合すれば追加制裁を辞さない構えを示している。 <ロシア、「支援グループ」の創設を提案> 欧米諸国は、国際的な「連絡グループ」を通じた危機解決を目指しているが、ロシアは、ウクライナ危機調停に向けた国際的な「支援グループ」の創設を提案。 ロシア外務省の声明によると、支援グループはウクライナによるクリミア住民投票の承認を推し進め、ウクライナに対し2月21日にウクライナ大統領を解任されたヤヌコビッチ氏と野党が結んだ和平協定の実行を求める。 支援グループはまた、ウクライナに対し、地域に幅広い権限を付与する新憲法の採用や、軍事・政治的中立の維持を求めるという。 ある西側外交筋には、これについて、一部の提案には交渉の余地があるかもしれないとしているが、ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は、ロシアによるクリミア自治共和国の併合は絶対に容認できないとの考えを示した。ウクライナ議会は17日、予備役兵4万人を招集する大統領令を承認した。 ウクライナの政変後、プーチン大統領は、ウクライナの南部と東部のロシア系住民を保護する権利を留保する、と述べている。ただ、ロシアのラブロフ外相は、南東部に侵攻する計画はないと言明している。 <ロシア株、ルーブルは上昇> 17日の金融市場では、ロシアの株価や通貨が反発した。クリミア情勢をめぐる西側の制裁が個人に限られ、経済全般に対する金融・通商措置に発展しないのではないかとの楽観的見方が材料となった。 株式市場では、ドル建てのRTS指数が4.9%高。ルーブル建てのMICEX指数も3.7%上昇した。 為替市場では、ルーブルが対ドルで1.1%高の36.18ルーブル、対ユーロで0.9%高の50.48ルーブル。ドル・ユーロの通貨バスケットに対しても0.8%高の42.70ルーブルとなった。 ただ、市場では、西側による制裁の脅威が払しょくされていない段階で「楽観的に考えるのは多少間違っており、相場の戻りは短期間にとどまる可能性がある」(スタンダード銀のティモシー・アシュ新興市場戦略部部長)との声も聞かれた。 ヘイグ英外相は、EU諸国がロシア産エネルギーへの依存度を「長期的に」減らす必要性について議論を始めたことを明らかにした。

また、ウクライナ新政権は18日、クリミア半島のロシア編入を認めないとの声明を発表した。ウクライナ外務省当局者は記者会見で「われわれはクリミアの独立やロシアへの編入を決して認めない」と述べている。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/ukraine/?id=6110788

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