OECD、ロシア加盟手続きを停止!外交を無視した結果か?

OECD、ロシア加盟手続きを停止!外交を無視した結果か?

露プーチン大統領 3月13日、OECDはロシアの加盟に向けた手続きを全て停止したと発表した。写真はロシアのプーチン大統領。ソチで12日撮影(2014年 ロイター/Mikhail Klimentyev/RIA Novosti/Kremlin)[/caption]

経済協力開発機構(OECD)は13日、ロシアの加盟に向けた手続きを全て停止したと発表した。OECD加盟34カ国からの要請を受けた措置。
ウクライナ南部クリミア半島で実効支配を強めるロシアに対し、圧力をかけた格好となった。

OECDは詳細を明らかにしていないが、ウェブサイトによると、ロシアの加盟交渉は2007年に開始した。加盟を果たすには、税制、環境、経済統計を含む幅広い分野の政策でOECDの基準を満たす必要がある。OECDへの加盟は、経済発展が重要な段階に達した証しだと考えられている。OECDはまた、加盟国がウクライナとの協力を強化し、同国が直面する政策課題への対応を支援することで合意したと明らかにした。

独メルケル首相
3月13日、ドイツのメルケル首相は、議会に対し、ロシアがウクライナ情勢を安定化させるパートナーとしての役割を果たさず、不安定なウクライナの状況を利用しようとした、と述べた。ワルシャワで12日撮影(2014年 ロイター/Kacper Pempel)

また、ドイツのメルケル首相は13日、ウクライナ問題でロシアが軌道修正しなければ、「甚大な」政治的・経済的損害を被る恐れがあると警告した。首相は議会演説で、ロシアのプーチン大統領の行動がウクライナやその他の諸国に「大惨事」をもたらすと述べた。「ロシアの隣国としてわれわれはこの問題を脅威と捉えているだけでなく、欧州連合(EU)とロシアとの関係も変えることになる」とし、「それだけでなく、ロシアに経済的にも政治的にも甚大な損害を与えることになる」と強調した。メルケル首相は、プーチン大統領に対してウクライナ暫定政権と協議するよう説得できなかったことを認め、時間切れになりつつあるとの認識をこれまでに示している。首相は、ロシアが実効支配を強めるウクライナ南部クリミア自治共和国に関し、プーチン大統領が外交関係を顧みずクリミアのロシア編入の是非を問う住民投票を実行に移した場合、EUは厳しい制裁を発動すると改めて表明した。

「誤解のないように言うと、われわれはそのような措置をとりたいわけではないが、不可避となればわれわれは完全に用意ができており、覚悟がある」と述べた。

メルケル首相はロシア語が堪能で、旧知の仲であるプーチン大統領と何度も電話会談を行い説得を試みてきた。首相は演説で、プーチン大統領がソ連崩壊後の長年にわたる友好関係を壊そうとしていると嘆いた。首相は「ウクライナ領土の一体性に疑問を差し挟むことはできない」と述べ、クリミア半島の状況と、バルカン半島のコソボの状況を比較することはできないとの見解を示した。

3月16日にはクリミア自治共和国をロシアに帰属させるべきかどうかの住民投票が行われる。ロシア系住民が6割を占め、すでにクリミアの議会はロシア帰属を決定しているため、住民投票の結果はほぼ決まったようなものなのだが…。

【クリミア自治共和国の歴史】

クリミア半島
クリミア自治共和国

1991年8月24日 ウクライナがソ連から独立を宣言
1992年5月5日  クリミア議会がウクライナから独立を宣言し、クリミア共和国憲法を制定
1992年9月    クリミヤ議会が独立宣言を取り消す
1994年5月    クリミヤ議会がクリミア共和国憲法の復活を決議し、再度独立を宣言
1995年3月17日 ウクライナ政府の支配下に復帰し、クリミア自治共和国となる

もともとクリミア半島はオスマン帝国の属国であるクリミア・ハン国が統治していたが、18世紀の露土戦争の結果、ロシア帝国に編入された。このため、クリミア半島にはウクライナ系ともロシア系とも異なる、クリミア・タタールと呼ばれるイスラム系人口が一定数存在する。 ソ連時代の1954年には当時のフルシチョフ書記長の決定によってクリミア半島は(ソ連邦内の)ロシアからウクライナへと移管されたが、当時は同じソ連国内であったから大した問題とはならなかった。 しかし、ソ連が崩壊してみると、黒海艦隊の本拠地であるセヴァストーポリ市を含めたロシアの重要軍事施設がウクライナ領内に存在することになってしまった上、2008年にはウクライナのNATO入りまで取りざたされるようになったことで、ロシアにとっては重要な安全保障上の問題に発展したが、結局、2010年の大統領選で前述のヤヌコヴィッチ氏が勝利し、2042年までロシア海軍の駐留を認める協定が締結された上、ロシアも自国領内のノヴォロシースクに新たな海軍基地を建設するという策をとったことで、ひとまず落ち着いた。

しかし、以上のような歴史的経緯から、クリミア半島ではウクライナからの独立の機運が強い。今回の政変でもクリミア自治共和国政府は新政権の「従属を求める圧力と脅し」に屈しないとして独自の路線を打ち出した。東部の中でも特に親露的な住民感情に配慮すると同時に、今回の政変で急激に台頭してきた極右勢力(ネオナチと親和性が高い)の影響力がクリミアに及ぶことへの警戒もその背景には存在する。 さらにクリミアには、特にマイデン広場において反体制派に対する鎮圧を行った治安部隊「ベルクート」の隊員たちが居る。 新政権は同部隊を解散すると共に、治安作戦における残虐行為などについて調査を行うとしているが、隊員達はこれに従わず、クリミアの首都シンフェローポリでは武装籠城が続いている。 隊員達にしてみれば死傷を出しながら最前線で苦しい戦いを強いられた上、政権が代わった途端に放り出される(しかも復讐の対象になる可能性が高い)というのでは納得できないと言うかひどい話である。クリミア自治共和国議会も彼らに同情的で、自治共和国が新たな職場を提供するとしている(自治共和国内に対テロセンターを設置するとの報道もあり、これが彼らの再就職先として想定されていると思われる)。
ただし、前述したクリミア・タタールはこうした自治共和国政府の動きには否定的だ。シンフェローポリの自治共和国最高会議前では、独立を訴える親露派住民(セヴァストーポリからやってきた住民達も含む)とクリミア・タタール系住民が対峙し、すでに小規模な衝突も発生している。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20140227-00033043/ 抜粋

 このような民族問題や外交問題を残したまま、3月16日に住民投票は行われるのか?ロシアいや、プーチン大統領の動向を見守りたいと思う。

 

ロシア連邦 プーチン首相 フィギュア1/6
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