【もうすぐAppleの傘下】してやったりのBeatsの闇=その5

【もうすぐAppleの傘下】してやったりのBeatsの闇=その5

Beatsは何故音質の良くない物を出し続けるのか?4からの続きです。

appleとbeatsは?
appleとbeatsは?

「それは嘘だ」とモンスターは言ってます。その証拠にギズに部外秘のデザイン資料を見せてくれました。ここにはオーディオ設計もモックアップの製品の意匠もモンスターがデザインを手がけたという証拠が残ってます。

beatsの資料の1つ
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beatsの資料の1つ
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技術も全部Beatsのものだという言い方には、さすがのモンスターも怒りを露わにしています。「断じてそんなことはない。エンジニアなんて誰もいないではないか」とNoelパパが言えば、息子Kevinもこう言います。「Beatsなんか(技術貢献)ゼロだ」、「Beats by Dreヘッドフォンのサウンドはモンスターが開発した技術。彼らはただそれが欲しいと言って認めただけであって、あのサウンドを実現したのは当社だよ」

この「認める」という役割り。これはNoelとKevinの供述で何度となく出てきた言葉です。製品をJimmyとDreに持っていって、何度か往復して製品が発売になって、誰かが買ってクレジットカードの請求書に出て、動画で見せびらかしたい人とかラッパー予備軍がこれつけて街を歩く。本当にみんなが狙った通りに、事は運んだのでした。

ところが思わぬ異変が起こります。時価総額何億ドルの大手台湾企業HTCがBeatsに目をつけたんです。JimmyとDreはお金の匂いを敏感に嗅ぎとります。51%の持ち株と引き換えにHTCが提示した買収額はなんと3億ドル(307億円)。インタースコープ側には幸い(モンスター側にとっては「不幸にも」)、Kevinが斜め読みでサインした契約書があります。これでBeatsはモンスターに気兼ねなくHTCの懐に飛び込むことができたのです。Beatsの人は、この決別のお陰で会社組織も「身軽」になって「稟議書回す手間」も減ったと言ってますが、もちろんそんな耳障りのいいことじゃない。Lee父子を切り棄てるのには、それなりのインセンティブがあったわけです。

モンスターは提携解消で一定の金額を受け取りましたが、それは出口でウハウハこの世の春…というよりは早期退職金に近いものでした。Beatsはモンスターから身ぐるみ剥がして去っていったのです。モンスターがやったオーディオ周りの仕事の成果すべて。特許すべて。意匠権すべて。何より痛かったのが、ブランドネームももってかれたことです。

Iovineは一度、モンスターがデザインしたヘッドフォンのパッケージから「Monster」の名前を消せと騒いだことがありました。「Beats By Dre」という名前だけにしたかったのです。モンスターのロゴもだめ、モンスターと名のつくものは全部だめ。

HTCと組んだお陰でモンスターという邪魔者は消えました。モンスターが誕生を助けた怪物リヴァイアサンを前に、モンスターは自社が開発した技術を使って戦うことすらできないのです。Beats Electronicsがモンスターを排除したその同じ年、同社の売上げは5億1900万ドル(530億円)に達し(前年はたったの298ドル[3万円]だった!)、100ドル以上の「プレミアム」ヘッドフォン市場で64%の圧倒的シェアを獲得します。一時の流行りどころか圧勝です。

Jimmy Iovineがサメの本性を剥き出しにし、Lee坊やが完膚なきまでに骨抜きにされたのが、どの時点だったのか、それはなんとも言えません。なんだかんだ言って関わった全員が大儲けして当分生活に困らない今の状況では、同情しろって言われても1デシベルも感じない、というのが正直なところではあります。順風満帆のBeats Electronicsが今のやり方やブランディング戦略を変えることはまずないでしょう、Dr. Dreがよっぽど凶悪なスキャンダルでも起こさない限り。KevinとNoel Lee父子が仕返しに何かやるってことも考えにくいです。ふたりともBeatsは手にあぶく銭で本当に楽しかったよって言ってますしね。でも、もう有名人の金儲けに付き合わされるのも、一発大当たりのガジェットを狙うのも当分は懲り懲りのようでした。
Sam Biddle – Gizmodo US[原文]
(satomi)

参考文献:http://news.livedoor.com/article/detail/8828538/

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